理想の子ども像を求めて
「子育てハッピーアドバイス」 著者 明橋大二 イラスト 太田知子
子供もいなければ、結婚もしていない、その願望すらあまりない私。
そんな私のような人にも有益な本だと感じています。
購入してから10年以上は経っていると思います。その間何度かあった本の断捨離の中でも捨てずにいた本です。
子育て本ですが、職場やプライベートでの人との関係性の持ち方を考えるうえで参考になります。
話を聞くことの重要性、がんばりを認めてあげることの重要性、自己肯定感を高める、低下させる関わり方、現実性のない理想像についてなど、わかったつもりになっていて実感として持ちにくかったものを豊富なイラストによる親子の姿を見て実感が持てた気がします。
イラストを見て実感という表現は少々違和感のある表現な気もしますが、個人的には文字で読むことに加えイラストで子どもや親の表情などを見ることで、よりリアリティをもって感じられました。
本の冒頭に、スクールカウンセラーであり医者である著者のもとに相談に訪れた母親との会話が紹介されています。少し要約すると、
「なかなか思うように育ってくれなくて困っています。どうしたらうまく育つんでしょうか」
そう相談にきた母親に
「どんな子どもに育ってほしいと思いますか?」
と聞くと
「本当は、ただ健康でありさえすればいいんです」
更に聞いていくと
「もちろん、性格も素直で明るい子どもがいいですけど」
更に聞いていくと
「やっぱり、勉強もできないよりできたほうがいいし、時にはお手伝いもして欲しいし、いじめとかに負けない強い子、あと、自分の意思をちゃんと持っている子。おもいやりのある子。外でよく遊ぶ子・・・」
そして母親は気づきます。
「ちょっと欲張り過ぎですかね」
「というか、ありえないですよね・・・」
〈自分の意思をちゃんと持っている子は、たいてい素直ではありませんし、外でよく遊んで、なおかつお手伝いもして、宿題もする、なんて、ふつう子どもには無理です。現実にありえない理想の子どもに、わが子がならないと悩むより、今ある子どもの良さを認めることから初めてみてはどうでしょう。〉[子育てハッピーアドバイス 著者 明橋大二 イラスト 太田知子 3頁]
そうなんですよね。自分で勝手に現実にはいもしない理想の子ども像を作りあげてそうならないことに悩んだり、不満に思ったりなんてことがあるのでしょうね。
何かの本にも似たようなことが書いてありました。
朝は親が起こさなくても自分一人でスッと起きてきて、いつも「おはよう」と元気にあいさつをして、朝食も好き嫌いなく全部きれいに食べて、テキパキと準備をして、忘れ物もせずに元気に「いってきまーす」と時間に余裕をもって出かけていく。
そんな子どもがいたらどう思います?
ちょっと気持ち悪いですよね。
冷静に考えるとそんな子どもいるわけないのはわかっているのにね。
理想の子ども
理想の上司
理想の部下
理想の恋人
理想の旦那
理想の親
理想の姑
理想の自分
想像しているその理想は非現実的な理想ではありませんか?
非現実的な理想を追い求めて苦しんではいませんか?
自分を苦しめているのは自分かもしれませんね。
(また、内容が脱線してしまいました。この本は他にもいろいろな気づきが得られますよ)