人の心がわり
【心惹かれたことば】
≪私は恋愛小説を書くのがわりに好きだ。
なぜかというと、”人の心がわり”ということほど、人生に大きなショックはないだろうから。挑戦しがいある文学テーマである。というのも、人は、人を好きになったり、愛したりする。それも人生では衝撃的なできごとであるが、愛がさめ、好意が薄れることも、人生にはある。人は心がわりする。それを、とどめられないことも人生には、ある。 〈ひよこのひとりごと〉 ≫
田辺聖子 上機嫌な言葉366日 海竜社 46頁
既刊の作品からさまざまなことばを抽出した「ことば集」であるこちらの本。その中からいいなぁと思ったのが上記のことば。「ひよこのひとりごと」というエッセイ集の中の一説になります。
【考察】
うまくいかない時はうまくいかないものだ。そういうもの。そのまま受け入れる。あれこれ考え悩まなくてもいい。何が悪いのか考えなくてもいい。
考えなくてもいい。考えてもいい。なぜ自分は上記のことばに惹かれたのかを考える。
「それもまた、良しや」
田辺聖子さんの作品が好きで以前に何冊か読みました。しなやかさと言いますか、やわらかさと言いますか、どうしようもなさと言いますか、可愛げのある男女が多く登場するんですよ。好きです。まだ読んでない作品も多くあるので読んでみようと思います。